イベント詳細
概要
江戸川ジャズナイト2015
終了しました
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日本のジャズシーンをリードする豪華ミュージシャンたちが集結
一度きりの空間で ここでしか生まれない感動を!
ジャズ界にとどまらず、幅広く日本の音楽シーンを支えてきたレジェンド、前田憲男のトリオに、印象深い歌唱力で日本のポップス・シーンに数々のヒット曲を送り出してきた渡辺真知子がゲスト出演。予測のつかないコラボレーションが期待される。
また、日本人離れしたパワフルさと奥深い表現力をあわせ持つヴォーカリストShihoと、誰にも真似できない超絶技巧で圧倒的なギタープレイを繰り広げる横田明紀男。ふたりだけの最小ユニットFried Prideが聴く者を魅了する。
そして、ジャズ~ポップス界のトップアーティストとの共演経験豊富な若き実力派ジャズ・ミュージシャン市原ひかりと纐纈歩美が、ジャズのスタンダード・ナンバーを切々と聴かせる。
さらには、世界へ音楽の架け橋を渡すストリート・ジャズ・サックス・アンサンブル・バンド、HIBI★Chazz-Kが、心が躍りだすようなハッピー・ジャズで盛り上げる。
世代もスタイルもジャンルも飛び超えた4組のパフォーマンスをひと晩で体感できる、まさにボーダレスなジャズフェスティバル!
- 公演日時
- 2015年10月3日(土) 16:30開演(16:00開場)
- 会場
- 大ホール (座席表はこちら)
- 出演者
- 前田憲男トリオ スペシャルゲスト 渡辺真知子
Fried Pride
市原ひかり=纐纈歩美 スタンダード・クインテット
HIBI★Chazz-K ゲスト 佐藤達哉
<お知らせ>
HIBI★Chazz-Kに出演予定でした宮本佳奈(tenor sax)が都合により出演できなくなりました。心よりお詫び申し上げます。
なお、当日はゲストとして佐藤達哉(tenor sax)が出演いたします。 - 司会
- 加藤知華
- 料金
- 全席指定 5,500円(税込)
※未就学児の入場はご遠慮ください。
※車椅子席・介助者席は、江戸川区総合文化センター窓口・電話のみの販売です。 - チケット発売日
- ◆一般発売日 2015年6月20日(土) ◆サポーターズ・クラブ先行発売日 2015年5月30日(土)
- チケットのお取り扱い
- ◎江戸川区総合文化センター 窓口(9:00~21:30)
◎江戸川区総合文化センター 電話 03-3652-1106(9:00~21:30)
◎江戸川区総合文化センター ホームページ ※購入には事前の登録が必要です。
◎プレイガイド
イープラス:http://eplus.jp
チケットぴあ:http://t.pia.jp/ 0570-02-9999(Pコード:262-394)
ローソンチケット:http://l-tike.com/ 0570-084-003(Lコード:78129) - 主催
- 江戸川区
江戸川区総合文化センター指定管理者サントリーパブリシティサービスグループ - 制作
- 株式会社コンベックス
- お問い合わせ
- 江戸川区総合文化センター TEL:03-3652-1106(9:00~21:30)

- 前田憲男トリオ スペシャルゲスト 渡辺真知子
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前田憲男 Norio Maeda
1934年大阪生まれ。独学でピアノを習得し、高校卒業と同時にプロ入り。1955年上京し、ピアニストとしての実力を高く評価されると共に、アレンジャーとしても頭角を現しステージ、テレビなど幅広い分野で活動を始める。1975年からの『11PM』へのレギュラー出演で好評を博し、その後『ミュージック・フェア』などの人気番組の音楽監督を担当。1980年に日本最高のジャズプレイヤーを集めた「ウィンドブレイカーズ」を結成、今年で36年目を迎える。あわせて、羽田健太郎・佐藤允彦とのトリプルピアノ(2007年終了)、自己のトリオやスペシャルビッグバンドおよび全国主要オーケストラのポップスコンサートの客演指揮など、多彩な演奏活動を展開。1983年「南里文雄賞」、レコード大賞「最優秀編曲賞」、2014年「文化庁長官表彰」を受賞。
前田憲男トリオ
前田憲男(piano)
加藤真一(bass)
山田 玲(drums)
Special Guest
渡辺真知子 Machiko Watanabe
「“シンガーソングライター”はテレビに出演して歌わない」という当時の音楽業界の常識を覆して積極的に歌番組に登場する。「迷い道」のほか「かもめが翔んだ日」、「ブルー」、「唇よ、熱く君を語れ」など、日本のポップス・シーンに残る数々のヒット曲を送り出し、印象的な歌詞と心に残るメロディー、そして深いエモーションをたたえた抜群の歌唱力で一躍人気アーティストの仲間入りを果たした。デビュー時より楽曲制作とともにコンサート活動も精力的に続けており、国内はもとよりユーロ、南米など海外でもそのパフォーマンスに賞賛が寄せられている。ジャンルにとらわれない幅の広さ、歌い続けてきた大人ならではの表現力で“今”を歌うオンリーワンのアーティストである。

- Fried Pride
-
類まれなる歌唱力を持つボーカリストShihoと超絶技巧のギタリスト横田明紀男の2人からなるジャズユニット。2001年、米国コンコード・レーベルから日本人初となるアルバム『Fried Pride』でデビュー。日本人離れした歌唱力と誰にも真似できないギタープレイで各方面から注目を浴び、その後毎年アルバムを発売。2004年に発売した4thアルバム『That's My Way』ではグラミー賞アーティストでもあるマーカス・ミラー、ギル・ゴールドスタイン、マイク・マイニエリと共に作品を制作、本格的に海外での活動をスタートさせた。現在までにニューヨークのブルーノートをはじめ数々の海外公演やイベントに出演。最新作の11thアルバム『ROCKS』でも更なる進化を魅せる。2014年、美女が頭突きで瓦を割りインパクトあるCMで話題となったセゾンUCカードのCMソングを担当。
Fried Pride
Shiho(vocal)
横田明紀男(guitar)

- 市原ひかり=纐纈歩美 スタンダード・クインテット / HIBI★Chazz-K
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市原ひかり Hikari Ichihara
ジャズ・ミュージシャンを父に持ち、中学からトランペットをはじめる。洗足学園音楽大学卒業後、2005年メジャー・デビューし、ジャズ専門誌の新人賞を受賞。ニューヨークで録音したセルフ・プロデュース作品など才能を着実に開花し、これまでアルバム8枚を発表している。最新アルバムは文豪の小説を題材に創りあげた『親愛なるギャツビー』。現在、自己グループの活動を中心に、山下達郎や竹内まりやのアルバムに参加するほか、土岐英史(sax)などの実力派ミュージシャンのグループでも活動する女性トランペットのトップランナー。
纐纈歩美 Ayumi Koketsu
アマチュアビッグバンドのトロンボーン奏者である父の影響で、幼少の頃からジャズ、ラテン、フュージョンに親しむ。中学でアルト・サックスをはじめ、高校から本格的にジャズを演奏。その後、甲陽音楽学院名古屋校に入学し、ライブ活動を開始する。2010年にCDデビューし、現在まで5枚のアルバムを発表。最新作はニューヨークの一流ミュージシャンと録音した『バラーディスト』。これまで共演したミュージシャンは、日野皓正(tp)、土岐英史(sax)、菊池成孔(sax)、クオシモード、向井滋春(tb)など数えきれない。現在自己のカルテットを中心にライブ活動を行っている。
市原ひかり=纐纈歩美 スタンダード・クインテット
佐藤浩一(piano)
大塚義将(bass)
柴田 亮(drums)
HIBI★Chazz-K ひびちゃずけ
サックス・カルテット(ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)+ドラムの5人編成のグループ。東京都が選定したヘブンアーティストとして公共施設での演奏が許されている。ヨーロッパ、アジアなど国内外のフェスティバルに出演を果たし、2014年6月にはニューヨークでライブも行った。ストリート、ライブハウス、ジャズ・フェスティバル、大道芸フェスティバルなど枠にとらわれない環境で斬新な演奏を披露している今注目のグループ。 2014年7月『ハッピー・サックス・ヒット・エクスプレス』でメジャー・デビュー。同年の第56回日本レコード大賞<企画賞>受賞。
HIBI★Chazz-K
ひび則彦 (soprano sax)
筒井洋一 (tenor sax)
小仲井紀彦(baritone sax)
染谷真衣 (alto sax)
竹下宗男 (drums)
ゲスト 佐藤達哉 (tenor sax)
<お知らせ>
HIBI★Chazz-Kに出演予定でした宮本佳奈(tenor sax)が都合により出演できなくなりました。心よりお詫び申し上げます。
なお、当日はゲストとして佐藤達哉(tenor sax)が出演いたします。
※出演メンバーは変更になる場合もございます。予めご了承ください。
- セットリスト公開!
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江戸川ジャズナイト2015
セットリスト
【第1部】
◆HIBI★Chazz-K
M-1 ひょこりひょうたん島
M-2 軍隊行進曲
M-3 Donna Lee (w/佐藤達哉)
M-4 Spain (w/佐藤達哉)
M-5 Happy (w/佐藤達哉)
◆市原ひかり=纐纈歩美 スタンダード・クインテット
M-1 枯葉
M-2 This I Dig of You
M-3 Stardust
M-4 My Funny Valentine
【第2部】
◆Fried Pride
M-1 Eat the Rich
M-2 Close to You
M-3 Take 5
M-4 Almaz
M-5 Rose
M-6 Dig it
【第3部】
◆前田憲男トリオ スペシャルゲスト 渡辺真知子
M-1 Misty
M-2 Yesterdays
M-3 Cute
M-4 迷い道 (w/渡辺真知子)
M-5 Stardust (w/渡辺真知子)
M-6 ブルー (w/渡辺真知子)
M-7 Smile (w/渡辺真知子)
M-8 かもめが翔んだ日 (w/渡辺真知子)
M-9 Here's to Life (w/渡辺真知子)
◆ジャムセッション
M-1 Take the "A" Train
M-2 Isn't She Lovely (feat. Shiho)
M-3 Amazing Grace (feat. 渡辺真知子)
2015.10.03(sat)
江戸川区総合文化センター 大ホール

- 「江戸川ジャズナイト2015」 アウトリーチ企画
【ジャズ・ポップス勉強会】 開催レポート -
10月3日(土)に開催される「江戸川ジャズナイト2015」の関連企画としまして、8月22日(土)、江戸川区立東葛西中学校にて【ジャズ・ポップス勉強会】と題したクリニック(注)が開催されました。
クリニックを受講したのは、東葛西中学校の吹奏楽部「East’on Pop Band」。1年生から3年生まで約60名が参加してくれました。普段は吹奏楽の楽曲を演奏することが多いのですが、定期演奏会などではポップスステージもあるそうで、なかでも“ジャズ”の楽曲は部員にも人気もあるようです。「“ジャズ”をカッコよく演奏したい!」という吹奏楽部員のみなさんの悩みに応えるべく、今回のクリニックが実現しました。
指導してくださったのは、ストリート・ジャズ・サックス・アンサンブルバンド「HIBI★Chazz-K」のリーダー、ひび則彦さん(ソプラノサックス)。そして、同じく「HIBI★Chazz-K」のメンバー、染谷真衣さん(アルトサックス)と小仲井紀彦さん(バリトンサックス)という豪華3名の先生方。
江戸川区内のスタジオを拠点に活動しているご縁から、今回の「江戸川ジャズナイト2015」に出演していただくこととなり、このクリニックの講師も務めていただくこととなりました。
まずはご挨拶代わりに3人でのパフォーマンス。今回のクリニックの課題曲でもある「Sing, Sing, Sing」と「In the Mood」を演奏しながら入場。普段のHIBI★Chazz-Kとは少し違う特別アレンジを披露して、部員たちも手拍子で迎えました。
そして本題のクリニックに突入。ひび先生からの的確なアドバイスを聞き逃すまいとメモをとりながら熱心に聞き入る部員たちの姿が印象的でした。
その前向きな姿勢はすぐに成果となって表れ、アドバイスを受けて演奏を繰り返すごとに上達していくのが手に取るように感じられました。音の大きさ、音色、表現力や表情などが、最初の演奏とは見違えるようで、これには顧問の先生も驚かれていました。
クリニックの中でひび先生から、「イメージすることの大切さ」が繰り返し教えられました。それは、自分の好きなプレイヤーの音でも、好きな曲でも、あの人のあの音を出したいと思って楽器を演奏することが上達への近道になる、ということでした。最初はマネで構わない。イメージしてマネすることが大切だそうです。
そういった意味では、ひび先生をはじめ、プロの生音を目の前で聞けた部員たちは貴重な体験ができたのではないでしょうか。
夏休み中でも毎日のように、朝から夕方まで練習している部員たちにとっては、4時間という長時間にわたるクリニックもへっちゃらな様子で、最後まで元気いっぱいに演奏してくれました。それに応えるように、ひび先生も模範演奏を交えながら熱い指導してくださいました。
ウワサを聞きつけた他の中学校の音楽の先生や吹奏楽部の顧問の先生、ご父兄の方々も駆けつけてこられて、こちらも熱心に最後まで見学をされていました。
クリニック終了後も帰りかけるひび先生たちを捕まえて、練習方法や楽器などについて質問攻めにするなど、最後まで積極的な姿勢は変わることなく、本当に関心させられっぱなしの一日でした。
「見る見るうちに上手くなって本当に驚きました」と小仲井先生。ひび先生は「僕も吹奏楽でサックスと出会いました。僕たちもがんばって続けていきますので、ぜひみなさんも楽器を演奏することを続けていってください。また会いましょう!」とメッセージを贈ってくださいました。
なお、今回のクリニックに参加してくれた東葛西中学校の吹奏楽部員は全員、10月3日(土)江戸川区総合文化センターで開催される「江戸川ジャズナイト2015」に招待されます。今回指導してくださったひび先生の「HIBI★Chazz-K」のほか、日本のトッププレイヤーの迫力ある演奏を体感することができるチャンスに、部員たちも楽しみにしてくれていることでしょう。
最後に、楽しみながらも中身の濃い指導をしてくださった「HIBI★Chazz-K」のひび則彦先生、染谷真衣先生、小仲井則彦先生、東葛西中学校の戸張先生、ご協力くださったみなさま、本当にどうもありがとうございました!
そして東葛西中吹奏楽部のみなさん、これからもみんなで楽しく“ジャズ”を演奏してくださいね!!
(注)クリニック ・・・ プロミュージシャンなどがアマチュアバンドやプレイヤーなどを指導すること
写真提供:BIGBAND!編集部

- 前田憲男さん インタビュー
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前田憲男さん
NORIO MAEDA
Composer, Arranger, Pianist
毎日が自然体。
日本のジャズジャイアンツは
今日もピアノに向かう。
ジャズピアニストとして、また作・編曲家として半世紀以上にわたり、幅広く日本の音楽シーンをリードしてきた前田憲男さん。今回その音楽家としてのヒストリー、そして80歳を超えた今も第一線で活躍を続けるパワーの秘密をうかがいました。
前田憲男
作編曲家/ピアニスト 1934年大阪生まれ。独学でピアノを習得し、高校卒業後プロ入り。ピアニストとして高く評価されるとともに、アレンジャーとして幅広い分野で活動。1975年からテレビ番組『11PM』へのレギュラー出演で好評を博し、同じく『ミュージック・フェア』などの音楽監督を担当。1980年に「ウィンドブレイカーズ」を結成、今年で36年目を迎える。自己のトリオやスペシャルビッグバンドおよび全国主要オーケストラの客演指揮など、多彩な演奏活動を展開。1983年「南里文雄賞」、レコード大賞「最優秀編曲賞」、2014年「文化庁長官表彰」を受賞。
--- 「江戸川ジャズナイト2015」にご出演いただくトリオは、前田さんのほか加藤真一さん(ベース)、山田 玲さん(ドラムス)ですが、ドラムの山田さんは弱冠23歳とうかがっています。またスペシャルゲストには渡辺真知子さんが登場するという賑やかなステージ、みなさんとはよく共演されているのでしょうか。
前田憲男さん(以下、前田) このトリオはここ2~3年、一緒にやっています。定期的に演奏しているレギュラーバンドはほかにも「We3」(ウィスリー)や「ウインドブレーカーズ」などありますが、共演する人が変わると出てくるリズムがまったく違うので、その上に乗ってピアノを弾くのはとても新鮮です。渡辺真知子さんとは彼女が出演したテレビ番組『ミュージックフェア』のアレンジを担当したのがきっかけで、デビュー以来のおつきあいということになります。
--- 息の合った楽しいステージになりそうですね。ライブハウスで演奏される場合と、今回のような大きなホールに出演される場合とでは、違いはあるものでしょうか。
前田 ないない。どこで演奏してもやってることはいつも同じですから。人間そんなに器用に変えられるもんじゃないよ(笑)。
--- ステージで緊張されることはないのですか。
前田 それもほとんどないけど……。あ、一度だけあった! 東京厚生年金会館で東京交響楽団と一緒にリサイタルをやった時。自分が初めて書いたオーケストラ譜だったのでステージで挨拶していたら、後ろでドラムの猪俣猛が「あがってるあがってる」なんてからかうものだから、ホントに緊張してきた(笑)。でもその時一回だけでしたね。
編曲家として、プレイヤーとして音楽活動を続ける
--- 教師のお父上から読譜とピアノを習い、軽音楽部でコードを学んだとのことですが、独学でプロとしてステージに立ち、またどにようなきっかけで編曲を始められるようになったのでしょうか。
前田 当時はなにしろ音楽ができる人材が少なかった。高校を出てすぐ、スカウトされ伊丹空港周辺の米軍キャンプでピアノを弾くようになりました。そのときに「この曲をやりたいから譜面をつくってくれ」と頼まれ、レコードを耳コピーして三管の譜面を書くようになった。また当時入手できた海外の譜面を見て、書き方も少しづつ覚えていきました。
‘55年に上京し、運のいいことに一ヶ月もたたないうちに、赤坂見附のナイトクラブ『ラテンクォーター』に出演しているバンドのピアニストになることができました。また当時は次々とテレビ局が開局しフルバンド全盛の時代です。とにかく書く仕事が舞い込み、短期間で鍛えられてあっという間にビッグバンド譜まで書けるようになりました。僕自身もちょうど子どもが生まれて生活を安定させたいと思っていた時期です。徹夜でピアノを弾くのは無理だけど、編曲だったらできるかなと(笑)。それでだんだんアレンジの仕事が中心になっていき、収入もホントに10倍になった。
--- 80年になるとご自身の「前田憲男ウインドブレーカーズ」を結成、以後今日まで35年間続いています。またピアノトリオ「We3」(猪俣猛:ドラムス、荒川康男:ベース)、羽田健太郎さんが亡くなるまで続いた「トリプルピアノ」など、編曲のお仕事と平行してプレイヤーとしても現役でご活躍されてることは驚異的だと思うのですが……。
前田 「ウインドブレーカーズ」のメンバーは途中で替わりましたが、どのバンドもたまたま自然に続いた、ということでしょうか。アレンジばっかりやっていると蓄積されたものが出て行くばかりで次の新しいことが入ってこないと感じることがある。実際、アレンジャーに転向して5~6年たった頃まったく書けなくなった時期がありました。これはまずい、と思ってライブを再開したことが「We3」が誕生するきっかけです。すると書けなかった病気も自然にだんだん治っていた。
--- 演奏することが常になにか新しいアイデアをもたらす、と?
前田 そういうことでしょうねえ。アレンジの仕事は好むと好まざるにかかわらず、情報として常に世の中の音楽をなんでも頭に入れておくことが必要です。サザンもエグザイルも聴いていますよ。違う世代がどんな音楽を好むのか、漠然と知っていないと。だからといって興味のないことを書いてもしかたがないんですけどね。演奏するほうは好きなように弾けばいいから、そこは違うな。
--- 前田さんはジャズ以外の音楽においても数え切れないほどのお仕事をされてきましたが、ご自身にとってジャズとはどのような存在でしょうか。
前田 僕が初めて自分のお金でレコードを買ったのはベニー・グッドマン(クラリネット)の「アレキサンダース・ラグタイムバンド」が入ったアルバム。それまで聴いていたクラシックやタンゴ、ハワイアン、カントリー、などとは全く“別のサウンド”としかいいようのない心地よさだった。それがいいと思ったからこそこの世界に入ってきた。だから自分のベースはジャズだといえるでしょう。ただ何をもってジャズというのかは人それぞれ。僕がいうジャズとはグッドマンであり、ジーン・クルーパ(ドラムス)であり、オスカー・ピーターソン(ピアノ)やジョージ・シアリング(ピアノ)だった。チャーリー・パーカー(サックス)以降をジャズだと思っている若い世代とは相当違うでしょう。でもそれでいいんじゃないかな。音楽に対する感じ方は一人ひとり違うのだから。
ジャズの巨匠は漫画とパソコンが得意!!
--- 音楽でも音楽以外のことでも、これからやってみたいことはなにかおありですか。
前田 絵を描くことかな。実は学生時代は音楽よりも漫画家になりたかった。高校を卒業し、まだ大阪にいた頃に地方紙の4コマ漫画を半年間描いていたことがあります。
国会図書館に行けば残っているはず。ただね、それを見たら一目瞭然。漫画家にならなくてよかった!(笑)
--- 日本のジャズファンはきっともっとそう思いますよ。前田さんの音楽を聴けなかったかもしれませんから。それにしても新聞連載とは驚きですね。
前田 ホームページにある僕の似顔絵の漫画も自分で描いて、しかも顔をクリックすると動くようになっている(笑)。ホームページ自体も自分でつくりました。アニメももっと増やして載せる予定だったのですが、さすがに研究して書き換える時間が取れない。それが残念。
--- 現在は譜面はすべてパソコンでお書きになっているとのこと。パソコンが得意なのですね。
前田 パソコンを使い始めたのはミュージシャン仲間のあいだでは早いほうだった思います。Macとフィナーレ(楽譜作成ソフト)に落ち着くまで、出まわり始めた新しいソフトをあれこれ使っていましたからもう20年近く経つんじゃないかな。1曲仕上げるだけなら手で書いた方が今でも早いんだけど、保存や書き換えなどはやはり便利ですから。
--- 新聞のインタビューで「100歳の誕生日コンサートをやる」とおっしゃっていました。
前田 昔から90歳の誕生日コンサートをやるって、周りに言っていたんです。そしたらなんだか現実的になってきたし(笑)ハンパだから100歳ってことにした。先すぎてどこの会場もまだ予約を受け付けてくれないんですけどね。
--- 江戸川区総合文化センター 大ホールなら大丈夫では?
前田 それはありがたいね!(笑)
取材協力:BIGBAND! 編集部