6月30日(月)に行われる「松竹大歌舞伎」。今年は、『中村歌昇改め三代目中村又五郎襲名披露 中村種太郎改め四代目中村歌昇襲名披露』として行われます。公演を前に中村吉右衛門を始め、襲名披露の中村又五郎と中村歌昇が出席し、製作発表が行われました。
吉右衛門と歌昇のぶつかり合い
最初の演目、双蝶々曲輪日記『角力場』では、中村吉右衛門演じる大人の世界を知っている濡髪長五郎と、中村歌昇が初役で演じる純真な心を持つ放駒長吉がぶつかり合う話。その姿は現実の姿とも重なり合い、吉右衛門は「若い人はびっくりするほどのきらめきを出す時がある。それをどう受けて返すか。舞台はキャッチボールですから、私と歌昇くんがお互い玉を投げ合い、変化球を入れたり、そうしてお客様に喜んで頂けるものになる」と語り、それに対して歌昇は「吉右衛門のおじさまとがっつりと芝居をさせて頂ける、こんな幸せなことはないです。長吉は父が襲名披露で演じていた役(平成23年10月の御園座、濡髪長五郎は今回と同じく吉右衛門)ですので、その姿をみてこの役を演じたいと思っておりましたので、こうしてやらせて頂けることは大変ありがたいと思っています。全てをぶつけるつもりで取り組みたい」と意気込みを語りました。
二度目の大役を演じる又五郎
『傾城反魂香』土佐将監閑居の場は、中村又五郎演じる絵描きの浮世又平は自分の思いがかなわず死を覚悟し、女房と一緒に死のうとして手水鉢に絵を書くと、その絵が抜けてくることで師匠に認められる話。平成10年7月以来久々の又平を演じることについて、その時は「吉右衛門兄さんに手取り足取り教えて頂きました。今回はそれを洗いなおして、初めて演じる気持ちでもって勤めさせて頂ければと思います。」と真摯な姿勢で語りました。
平成23年9月から始まった長い襲名披露公演も、いよいよ今回で見納めです。
吉右衛門は、「役者は襲名の後が大変」と前置きをした上で、「又五郎さんは言うに及ばず、歌昇くんも襲名公演から今までの間にとても活躍しくれまして、皆さまに認めてもらうようになっておりますので、播磨屋の一門としてはとても嬉しく思っております。」と今回の襲名披露公演の喜びを語りました。
又五郎は「印象に残っているのは全ての舞台」と振り返りながらも、「一緒に共演をしていただいた先輩方のおかげ」と感謝の意を述べ、歌昇は「襲名披露もこれで最後だと思うとすごく寂しい思いがします」と振り返っていました。
公演は6月30日(月)昼夜2回公演。チケットは絶賛発売中です。左側の「オンラインチケット予約」からお申込みいただけます。