落語界のアイドル、春風亭ぴっかり☆さん。江戸川落語会には、前座時代に3回出演されており、その度にいつも明るいパワフルな高座を披露されます。そんなぴっかり☆さんに、春風亭小朝師匠との出会い、女流落語家としての自分、好きなタイプの男性像などを伺いました。ぴっかり☆さんの高座では知られない一面をお伝えします!
---ではさっそくですが、なぜ落語家を目指そうと思ったのでしょうか。
小さい頃から舞台を見るのが大好きだったのでミュージカルの専門学校を卒業しました。ただ、伝統芸能だけはなじみがなかったんです。でもある日、落語に触れる機会があり「あ、私が目指す道はこれだ!」とピンときて。そこからは、所属していた劇団もやめて寄席通いを始めました。
---そして今の師匠(春風亭小朝さん)に弟子入り志願を?
“師匠は小朝しかいない!”。これは迷いがありませんでした。ただなんのコネもツテもないんですよ。どうやって会いに行けばいいの? と悩んだ末、昼夜公演の合間なら少しは時間があるかもと思い、楽屋を突撃!「弟子にしてください!」と頭を下げました。もちろん何回か断られることは覚悟の上です。ところが、話を聞いた師匠が思いがけない一言を。「とるよー!」とマネージャーさんに叫んだんです。次の日には前座名「ぽっぽ」として噺家の修行生活が始まりました。
---おぉ~、運命を感じますね。小朝師匠に決めた理由を教えてください。
私は師匠の存在すべてが好きなんですよ。マルチにやっているところ、発想が柔軟なところ。“この人なら自分を育ててくれる”って確信がありました。男性ばかりの落語界の中でコツコツ真打ちを目指すのではなく、落語をやっているパフォーマーがいてもいいのではないだろうか、という私の思いを汲み取ってくれたんです。弟子にしてもらった時は本当に嬉しかったです。
---とはいっても男性ばかりの落語界です。女性であることで色々苦労はないですか?
苦労するのは百も承知です。楽屋には女の着替える場所なんてないですよ。でも男にならなきゃいけないというのは違う。「女」というのは私のひとつの個性だと思ってやっています。女だから得することもあるんですよ。お年寄りや子どもには覚えてもらいやすいですし。ただ、女の落語家に反対派の方はいっぱいいらっしゃいます。プラスとマイナスがあるから、ある意味フラットだと思っています。
---基本的に落語は男性目線での噺が多いですが、噺を選んでいるのですか?
女性がやるのは無理だと思われる噺にもあえて挑戦します。吉原の噺もやりますよ。
(※この日の演目は小朝師匠の新作、吉原が舞台の「元禄女太陽伝」でした。)
---そうなんですね。女流落語家さんと交流はありますか?
女流は少ないのでよくお会いするし仲がよいです。たまに女子会もしますよ。…でも男前のねえさんが多いので「おじさん会」だなあ…(笑)。たくさんの女流の先輩が道を作ってくださったので、私は本当に楽をさせていただいています。
---昨年、アイドルのオーディション「大人AKB」に応募し、最終選考まで残られましたね。
アイドル活動も、師匠はOKだったのでしょうか?
前座だったら無理だったんですけどね。師匠に「受けてもいいか?」と聞いたところ「君、受けなきゃだめだよ~」とノリノリでした(笑)。厳しい師匠だったら絶対ダメですよね。この自由な考え方もうちの師匠ならではです。プライベートの体験が身になるからって。
---なるほど!ところで、好きなタイプの男性ってどんな人か教えてください!
おかみさんっぽい人ですね。着物をたたんで私の帰りを待っててくれるような。私、中身がほとんどおじさんなんですよ~。可愛い女の子がいるとワーっておじさん目線で見てしまいます。
---イケメンの若い男性と話が最高に面白い年配の男性がいたらどちらを選びますか?
悩むな…。最近、イケメンみてない…。この業界にイケメンいない…。面白いおじさまは周りにいっぱいいるんですけどね。最近も50人の会場で私以外、全員おじさまだったんですよ~。それもおじいちゃんよりの。環境的に面白い年配の男性ばかりなので、選ぶ余地がないです。
---最近は、落語好きな男女が集まった婚活落語会とか落語合コンというのがあるらしいですね。
え~、ほんとですか!?うらやましい!でも、それって話す側にはなんの関係もないことですよね!(周りにいる他の師匠方も、悲しげにうんうんとうなづく)。客席のみなさんはカップルになったりして楽しんでいるんですね…(遠い目)。
---最後にこれから目指す姿を教えてください。
お客様が私の一生懸命な姿をみて、明るい気持ちになってお帰り頂ければと思っています。そしていつか、「ぴっかり☆だからいいよね」と思われる落語家になりたいです。
平成26年12月21日(日)江戸川区新川さくら館にて
(インタビュー/文 Yomura)