江戸川区総合文化センター

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「江戸川ジャズナイト2016」 関連企画
「ジュニア・ビッグバンド・ワークショップ」 開催レポート

10月8日(土)に開催される「江戸川ジャズナイト2016」の関連企画としまして、8月27日(土)、江戸川区総合文化センターのリハーサル室にて【ジュニア・ビッグバンド・ワークショップ】が開催されました。

ワークショップを受講したのは、江戸川区立瑞江第二中学校 吹奏楽部の有志とそのOB・OG、総勢18名。吹奏楽部員から希望者を募り、今回のワークショップのために編成されたこの日限りのビッグバンドです。普段は吹奏楽の楽曲を演奏することが多いのですが、“ジャズ”や“ビッグバンド”の楽曲は部員にも人気があるようで、今回のクリニックのために18名が名乗りを上げてくれました。夏休み中にも関わらず、メンバーは中学校の音楽室に集まり、事前に練習を重ねて今回のワークショップに臨んでくれました。きっと「“ジャズ”をカッコよく演奏したい!」というメンバーのみなさんの意気込みの表れなのでしょう。

指導してくださったのは、「江戸川ジャズナイト2016」のホストバンドとして出演する<江戸川ジャズナイト・スペシャル・ビッグバンド>の中心メンバーのひとりで、サックスプレイヤーの石川周之介さん。石川さんは学生時代にビッグバンドに出会い、大学ビッグバンドの名門のひとつ、明治大学ビッグサウンズソサエティオーケストラで活躍され、その後、アメリカとオランダにあわせて約7年間の音楽留学を経験した後に帰国。その後は国内のコンサートやレコーディングなどを中心に、数々の音楽現場で演奏活動のほか、音楽専門誌での連載を担当するなど、幅広く活躍する注目のプロミュージシャンです。今回、このワークショップの主旨に賛同してくださり、中学生たちのビッグバンドの役に立てればと、喜んで講師を引き受けてくださいました。

さて、ワークショップが始まると、まず石川先生からは、曲の構成を理解すること、曲の全体のイメージや場面ごとのイメージ捉えることの大切さを解説し、身振り手振りに加えて、時には自らドラムやベースを演奏して、そのポイントをメンバーたちに丁寧に伝えていました。また、譜面ばかりを見ながら吹いていると、楽器が下向きになって音が譜面にぶつかってしまい、バンドのサウンドが曇ってしまうので、しっかりとベルを上げて音を遠くに飛ばす意識を持つことを力説し、実際にメンバーが姿勢を正してベルを前に向けて演奏すると、バンド全体の音色は驚くほど変化して明るいサウンドになっていきました。これには見学に来られた父兄の方々も大変驚いていらっしゃいました。

また、ロングトーンなどの基礎練習では、発音や音の止め方のほか、クレシェンドしたり、あえて四分音符で強弱をつけたりなど、実演を交えながらリズムに乗せるコツをはじめ、その発展形として音形やリズムを変えながら、ホーンセクションでリズムを意識することによってジャズらしいリズムやノリをつくりだすことができるということを詳しく解説してくださいました。

内容としてはハイレベルでありながら、石川先生が平易な表現で、ポイントを押さえながらやさしく教えてくださったおかげで、多くのメンバーたちが理解しやすかったという感想を持った様子でした。石川先生の派手なボディアクションと独特な表現方法(?)に、最初は緊張していたメンバーたちも次第にリラックスしていき、笑い声に包まれるシーンもあり、その雰囲気がそのまま演奏にも現れていきます。そもそも音楽は楽しいものであって、演奏するひとも、それを聴くひとも、みんながハッピーになれるもの、それが石川先生の一番伝えたかったメッセージだったのかもしれません。そして、今回受講したメンバー全員が、それを実感したのではないでしょうか。今回のワークショップが成功だったかどうかは、今回のメンバーが吹奏楽やビッグバンドに限らず、演奏する側も聴く側もハッピーになってくれたときに初めてわかるものと思います。

なお、今回のクリニックに参加してくれた瑞江第二中学校の吹奏楽部員は、10月8日(土)江戸川区総合文化センターで開催される「江戸川ジャズナイト2016」に招待されます。今回指導してくださった石川周之介先生の<江戸川ジャズナイト・スペシャル・ビッグバンド>のほか、日米のトッププレイヤーの迫力ある演奏を生で体感することができるチャンスを、今後の音楽活動に行かしてくれていることを願っています。

最後に、楽しみながらも熱い指導をしてくださった石川周之介先生、瑞江第二中学校の山口校長、和田先生、ご父兄のみなさま、ご協力くださったみなさま、本当にどうもありがとうございました!
そして瑞江第二中吹奏楽部のみなさん、OB・OGのみなさん、これからもみんなで楽しく“ビッグバンド”を演奏してくださいね!!



写真提供:BIGBAND!編集部

阿川泰子さんからのメッセージ

今年の「江戸川ジャズナイト2016」に出演していただく阿川泰子さんからメッセージが届ききました。

--- もうすぐデビュー40周年を迎える阿川泰子さんですが、最近も変わらず精力的な活動をされています。長く、そして第一線でご活躍されるには秘訣はおありなのでしょうか。

こんな私が長くステキなお仕事をさせて頂けたのは、応援して下さる“お客様”が足を運んで下さっているおかげでございます。何とか少しでも喜んでお帰り頂けるよう、これからも精進してまいりますので、どうぞよろしくの程。

--- 阿川さんはこれまで、日本にとどまらず海外の数多くのミュージシャンやアーティストと共演されてきました。その中で印象に残っているアーティストやそのエピソードなどがありますか。

家族ぐるみでお付き合いして下さったのは、セルジオ・メンデスさんとご家族の皆さまです。大変な親日家で多くの事を与えて頂き感謝しております。
またヴォーカルの新しい面を教えて下さったのは、ジョー・サンプルさんで、それまでの歌の考え方を広げて頂いたすばらしき恩人です。
そしてイヴァン・リンスさんとのデュエットも忘れがたい思い出です。


--- 阿川さんはジャズという枠にこだわることなく、ブラジル音楽やクラブミュージックにも挑戦されてこられました。そんな音楽活動のなかでビッグバンドとも何度となく共演され、アルバムも残されています。今回の「江戸川ジャズナイト2016」でもビッグバンドをバックに歌われますが、阿川さんにとってビッグバンドと共演されることは何か特別な思いはお持ちなのでしょうか。

幼少のころから我家には数々のJAZZの名盤が生活の中にあり、湘南という地域も海軍さんの影響をうけ洋楽が自然に身体に溶け込んでいたのでしょうか。
母もダンスホールでビッグバンドに合わせてジルバを踊る環境でした。昔のビッグバンドの座付きシンガーが髪に花などを飾り、歌の出番を待つ姿に憧れておりました。


--- ビッグバンドの演奏では、特にヴォーカルを引き立たせるためのアレンジの良し悪しがポイントになると思います。阿川さんの歌われる楽曲のアレンジの素晴らしさは格別で、ヴォーカルとビッグバンドが一体となって聴く人に迫ってくる魅力がきっと伝わると思っています。阿川さんは今回の「江戸川ジャズナイト2016」でどういったところが聴きどころでしょうか。

歌と伴奏という考え方ではなく、私もビッグバンドの一員として歌という楽器として参加出来る楽しさがすばらしいのです。音楽のすばらしさは一体感なのです。同時にお客様と私達が同じ空気を味わう事こそが!


--- 最後に、「江戸川ジャズナイト2016」に来られるお客様にメッセージをお願いいたします。

ジャズ・ファンの皆さまも、そしてたまたま初めて来て下さる方々も、お帰りの時に「来てよかったァ~ また来ましょ!」と思って頂けますように!当日のおめもじ叶いますように願っております。



2016.6月 阿川泰子

デヴィッド・マシューズさん インタビュー

30年以上にわたり、MJQ、MJOのリーダーとしてジャズ史上に残る数々のヒット作を発表し続けるデヴィッド・マシューズさん。今回、江戸川ジャズナイト2016に『江戸川ジャズナイト・スペシャル・ビッグバンド』と競演されるにあたり、現在の心境を語っていただきました。


デヴィッド・マシューズ
作編曲家/ピアニスト 1942年ケンタッキー州出身。ルイ・ビル・ミュージック・アカデミー、イーストマン音楽院、シンシナティ音楽院等で学ぶ。ジェームス・ブラウン・バンドのアレンジャーを経てポール・サイモンの『スティル・クレイジー・アフター・オール・ジーズ・イヤーズ』でグラミー賞を獲得。フランク・シナトラ、ポール・マッカートニー、ビリー・ジョエル、ジョージ・ベンソン等のアレンジを担当し、グラミー賞、プラチナ・ディスクなど多数受賞。84年『マンハッタン・ジャズ・クインテット(MJQ)、89年には『マンハッタン・ジャズ・オーケストラ(MJO)』を結成し、以後今日までそのアルバムとともに人気を博す。大の親日家としても有名。

通訳:石川周之介 
サックス/フルート/ボサノバギター奏者 沖縄出身。明治大学ビッグサウンズソサエティオーケストラ在籍後、ニューオリンズ大学、ロッテルダム音楽院に学ぶ。ノースシージャズフェスティバルやオランダ王室演奏会での演奏など幅広く活動。2012年にiTunesでオリジナル曲を2度に渡り配信し、両曲ともJAZZチャート1位を獲得。2013年は37年ぶりに来日したQuincy Jones公演にビッグバンドメンバーとして参加。2015年9月自身2枚目となるリーダーアルバムをリリース。「江戸川ジャズナイト・スペシャル・ビッグバンド」のメンバーとしてデヴィッド・マシューズと共演予定。


——マンハッタン・ジャズ・クインテット(以下MJQ)、マンハッタン・ジャズ・オーケストラ(以下MJO)がスタンダードを取り上げたことで、日本ではジャズへの関心・人気が高まったという経緯があります。そのことについてどうお思いですか?

DM うーん、自分ではよく分からないけど。MJQは、とにかくいいミュージシャンを集め、いい音楽をやろうと思って結成しました。そのタイミングも良かったのか、日本のリスナーも受け入れてくれ、すべてが揃っていたのかも。聴いてくれる人が喜んでいることがわかると、演奏する方も楽しくなってくるからね。アレンジには僕のアーティストとしてのパーソナリティと感性が込められている。先日キングレコードから、この20年間に出したCDが再リリースされて妻と一緒に聴き、二人で思わず「ワォ」って(笑)。過去の作品を聴いているという気がしなくて、今聴いても新鮮だった。これならヒットしても不思議はないかなと感じました。

——音楽を創るするうえで、日本とアメリカ、環境の違いはあるのでしょうか。

DM 一般的には西洋と東洋の違い——キリスト教と仏教の違い、人種の違い、個人か集団か——などがあるけれど、ジャズをやるうえではあまり関係ないのでは。ただ、ニューヨークという街に関していえば、「アートのマグネット」ともいうべき特別な場所。自分を試してみたいと思ういろんな人たちを世界中から引きつけているから、選りすぐりのハイレベルなミュージシャンたちでいつも溢れている。こんな場所で自分が40年以上も仕事を続けることが出来たのはほんとうにラッキーだった。ジャズのトップミュージシャンにはアメリカ人が多いが、それは三味線や尺八の名手には日本人が多い、というのと同じようなもの。ニューヨークの状況から分かるようにこれからは国籍には関係なく、いろいろな人たちが活躍するようになると思います。

——音楽を学ぶ若い世代について、どんな感想をお持ちでしょう。

DM ジャズやポップスを演奏するウインド・アンサンブルのコンクールで審査員を務めていますが、子どもたちの演奏とテクニックのすばらしさには感銘を受けます。中には中高生だけでなく小学生も。彼らが進学し、ビッグバンドで活躍する姿は容易に想像できる。そういった優れた人たちに、ぜひジャズシーンに出てきて欲しいですね。我々の育った‘60年代、ジャズはまだダーティなイメージを持たれる音楽だった。音楽院にジャズ科もなかったし、放課後自分たちのバンドで練習していると先生たちから「ミュージシャンが大勢いるのに何故ジャズなんかやってるんだ?」なんて言われた時代だった(笑)。

——そういった若い人たちを含めた江戸川ジャズナイトのお客様に、マシューズさんの音楽のどんなところに注目して聴いていただきたいですか。

DM 日本のオーディエンスが楽しんでくれる音楽を演奏することが好きだし、自分自身もやりたい曲であることが大切だと思っています。ただミュージシャンはスタンダードのようなおなじみの曲ばかりをやっているとどうしても飽きてしまう。僕の音楽は、いつものレパートリーをどうすればフレッシュな響きにすることが出来るのか、常に彼らに問い、チャレンジさせている思う。そんなところを感じていただければ。

——マシューズさんにとって、ビッグバンドの魅力ってなんでしょう。

DM まずプレイヤーとしては、あの豪華なサウンドの中でソロをとることの楽しさですね。そしてビッグバンドはアンサンブルで演奏し、あのリズムによってスイングする。それは実にエキサイティングなことで、そこが交響楽にはないパワーを生み出している。それからビッグバンドにはカラーがある。僕自身はギル・エバンスからたくさんのインスピレーションをもらいました。MJOの各セクションはサウンドをカラフルにします。つまりスイング、パワー、カラー、この3つが混ぜ合わさっていること。それがビッグバンドの魅力といえるでしょう。歴史的にみれば、’30〜’40年代、ビッグバンドは若者のダンスミュージックだった。それが’50〜’60年代になると音楽が多様化し、大人数で演奏する形態は減りました。でも今また若者がビッグバンドに戻ってきて、MJOがそのハシリとなれたことは嬉しく思います。

——今回通訳をしてくださったジャズサックスプレーヤーの石川周之介さんは、江戸川ジャズナイト・スペシャルビッグバンドのメンバーとして出演されます。同じ音楽家として、またビッグバンドのリーダーとしてマシューズさんに聴いてみたいことはなにかおありでしょうか?
石川 そうですね。たとえば自身のバンドを続けていく際、バンドのモチベーションが上がらなかったり、なにか難しい状況になってしまった時、どうされているのでしょうか。

DM 最初にニューヨークでバンドを組めたことはとてもよかったと思います。さっきも言ったように、ニューヨークには優れたミュージシャンが大勢います。もし誰かがバンドを去ったとしても、同じレベルの人をすぐに見つけることができる。だからモチベーションが下がったり、困難な状況になったことはそれほどなかったかも。いろいろな考え方があると思うけど、僕は固定メンバーで演奏することにそれほどこだわりはないですね。
石川 同感です。ジャズはそういう側面がありますよね。

——マシューズさんのようにクリエイティブな活動を長く続けられる秘訣を教えてください。

DM 第一に健康でいることが、長く演奏を続ける秘訣かな(笑)。創造することは本当にミステリー。たとえばすごいアイデアを思いついたとするでしょう。それはもとから自分がたくさん持ちあわせていたというより、そのアイデアが「自分に割り当てられた」という感じ。なんとなく自分にぴったりくるからそれを使ってみるか、みたいな……。あるいはもうひとりの別な自分がいて、アイデアを利用しているような感覚というか。この時に何が起こっているのか、うまく説明はできないんだけど。ただ、音楽への情熱や旺盛な好奇心が創造性の重要な一部分、とは言えるかもしれないね。それから最初に出したCDがヒットしたので、自分が継続して制作していく基盤ができたことも幸運だった。ベイシー・バンドやグレン・ミラーのように、MJOもずっと続いていくかもしれないよ(笑)。




通訳:石川周之介
(サックス奏者/「江戸川ジャズナイト・スペシャル・ビッグバンド」メンバー)
取材協力:BIGBAND!編集部

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