6月30日(火)に行われる「松竹大歌舞伎」。今年は、『中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露』として行われます。公演を前に襲名披露をする中村鴈治郎が出席し、製作発表が行われました。
二度目の大役にゆっくりとりかかれる
今回の演目、襲名披露狂言として上演する双蝶々曲輪日記『引窓(ひきまど)』では、初世鴈治郎が家の芸として制定した「玩辞楼(がんじろう)十二曲の内」のひとつで、代々の鴈治郎が南方十次兵衛を当り役の一つにして上演を重ねてきました。
今回四代目鴈治郎が演じるのは、平成20年4月の大阪松竹座以来2回目ですが、初演時は上演期間も全9日間と通常よりも短かった上に、『角力場(すもうば)』『難(なん)波(ば)裏(うら)』も併せて上演したので、「(放駒)長吉やって(山崎屋)与五郎やって(南方)十次兵衛をやってと、慌しかったこともあり、今回は『引窓』の十次兵衛にゆっくりとりかかれます。」と当時を振り返りながら、今回にかける意気込みを語りました。
続けて、「玩辞楼十二曲の中でも『引窓』と言う芝居は好きな狂言で、親子の情、夫婦の愛、それも痴話喧嘩のような部分もあり、また、お早とのやりとりが、この芝居にとって大事な部分であると思っており、すごく好きな芝居です。今回はお早を息子の壱太郎がするので、今まで共演は何度とやってますが、親子で夫婦を演じると言うのは初めて」と、息子との共演への抱負を楽しげに語りました。
巡業は訪れる先へ歌舞伎を届ける貴重な場面
巡業公演については、「その土地、土地に歌舞伎がくるのを待っている方が本当にたくさんいらっしゃるんだと言うことを、いろいろ感じさせられる、数少ない貴重な場面」であると説明しました。そして、「そこへ歌舞伎を届ける、と言う気持ちを込めて演じる、心から楽しんでいただきたい」と今回の巡業への思いを語りました。
親子三代で全国を回れる貴重な時間
『襲名披露口上』には、鴈治郎の父であり、人間国宝の坂田藤十郎も登場します。鴈治郎は「80歳を過ぎて全国を回れる役者もなかなか少ない。本人は芝居にもと言っていたのを、体力的に負担も大きいので『口上』だけで十分ですと言いました」と明かしながらも、「父が元気で全国を一緒に回ってくれる。ついてきてくれるだけでうれしく思っています。いい思い出になると思って楽しみにしている」と巡業を一緒に回れる喜びを語りました。また、「巡業にはもれなく母(元・女優で参議院議員も務めた扇千景さん)もついてきます」という一言には、会場は温かい空気に包まれました。そして「息子の壱太郎にとっても、祖父、自分と共演をしつつ、話がたくさん聞ける貴重な時間になるのではないでしょうか」と、親子三代で自身の襲名披露公演を行うことへの思いを語りました。
公演は6月30日(火)昼夜2回公演。チケットは絶賛発売中です。左側の「オンラインチケット予約」からお申込みいただけます。
その他、各媒体でもご紹介されています。
中村鴈治郎:襲名披露で全国巡業 「父と一緒」/2015年06月23日 毎日新聞
巡回公演「松竹大歌舞伎」30日から/2015年06月14日 読売新聞
鴈治郎が襲名披露巡業公演/2015年06月7日 産経ニュース
中村寿治郎は体調不良の為、休演致します。
下記の通り、配役変更して上演致しますので、悪しからずご了承くださいますようお願い申し上げます。
双蝶々曲輪日記 引窓(ひきまど)
母 お幸 中村 鴈乃助