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2023年06月23日

尾上松緑さんが語る「松竹大歌舞伎」の魅力

主催共催公演

2023年6月30日(金)から全国21会場で開催される、「松竹大歌舞伎」東コースの製作発表記者会見が行われ、ご出演の尾上松緑さんに公演のこと、お芝居のこと、そして、江戸川についてお話を伺いました。

「松竹大歌舞伎」はコロナの影響で2019年を最後に中止されていましたが、今年4年ぶりに再開します。
演目は『鬼一法眼三略の巻 菊畑』と『新古演劇十種の内 土蜘』という歌舞伎の様式美にあふれた華やかな古典2作品です。
コロナ禍で東京以外の劇場に出演することが一度もなかったという松緑さんは「久しぶりの巡業をとても楽しみにしている」とその意気込みを語ってくださいました。

〇初役で挑む『菊畑』
ご自身にとってバイブルのような作品だと話す『菊畑』、今回の作品への思いについて「市村羽左衛門のおじ様が鬼一法眼、(尾上)菊五郎の兄さんが虎蔵、私の父(初代尾上辰之助)が智恵内を演じていたのを子どもの頃に観て、ずっと憧れでした。いつか智恵内をやりたいと思いつづけて、初めてやらせていただいたのが10年くらい前です。その時は本当にうれしかったです。なので、まだまだ智恵内をやりたい気持ちがありますが、後輩が活躍するようになってきた今、私が智恵内の役をやらせていただいた時に鬼一法眼を演じてくれたような先輩がいるのかどうかと考えた時に、後輩たちのためにも手に手を取り合う思いで、今回は老け役に回り、初役となる鬼一法眼をやらせていただくことになりました。
新たな挑戦への第一歩になる公演ですし、それを気心が知れた仲間とやらせていただけるのは、私自身も大変楽しみです。」

後輩を引っ張っていく立場として初挑戦となる松緑さんの鬼一法眼、とても楽しみです。

「『土蜘』は私が初めて巡業に参加させていただいた時に(尾上)菊五郎の兄さんとご一緒させていただいたのが始まりです。その後、私の祖父(二代目尾上松緑)や父(初代尾上辰之助)の舞台で太刀持ちの役で出させていただくなど、子どもの頃から馴染みのある役でございます。初めての出演から40年近く経ちますが、やればやるほど深みのある芝居で、年をとればとるだけ、役者としての年輪が舞台に出てきて、良くなる演目だと思っています。モンスターである土蜘の精の妖気や殺気を表現するのが非常に難しいですが、千筋の糸を繰り出す派手な立廻りもありますので、初めての方でも楽しんでいただける演目です。」

今回、上演される2作品の楽しみ方について「あまり筋書きを気にせずに、目の前にあるものをそのまま受け取ってもらえれば、それが、一番、作品を楽しんでいただけるポイントではないかと思っています。」とも話してくださいました。

〇各地の劇場でやることの面白さ
久しぶりの巡業を楽しみにしていると話す松緑さんに巡業の醍醐味について訊ねると、「巡業というのは、昨日と今日と全く別の劇場で芝居をするわけですが、劇場ごとに変わる舞台の大きさに合わせて、瞬時に共演者と自分の立ち位置、距離の取り方、相手を見る角度、そういったものを把握する必要があるわけです。とても難しいことですが、役者としての勘というのは、そうやって養われていくものだと思っています。
今回、私の倅(尾上左近)が初めて巡業に行かせていただきますが、そういう経験をさせてもらうことによって、しっかりした大人の役者になってもらいたいという思いもあります。多くの役者がそうやって修行をしてきました。
我々にとって、いろいろな劇場でさせていただけるというのは、勉強の場であり、チャレンジの場でもありますので、そこが楽しみでもあります。
また、舞台と客席が近いからこそ演出できる臨場感がありますので、歌舞伎座とは違った、別の面白みがあると思います。」

作品は同じでも、その劇場ならではの芝居になるわけですね。観る側にとっても、一度きりの舞台となります。

また、息子である尾上左近さんには、ご自身が受け継がれてきた「舞台に出たら、とにかく不器用でもいいから一生懸命やること」の大切さを伝えているとも話してくださいました。
初めての巡業に参加する尾上左近さんの活躍にも注目です。


インタビューの最後に、江戸川区総合文化センターにご来場のお客様へのメッセージをいただきました。

「間もなく開館40周年を迎えられるとのことですが、その間、歌舞伎だけではなく、
多くの公演に足を運んでくださることに感謝しております。
芝居ができる劇場があるということは、我々にとっては非常にありがたいことですので、今回、コロナ禍で4年ぶりの公演となりますが、この何年間を取り返すようなつもりで、
お客様に喜んでいただける舞台を勤めて参りますので、応援をしていただければと思います。」

平成27年(2015)の松竹大歌舞伎にも出演されていますが、江戸川区総合文化センターの思い出について「巡業でお伺いした記憶もさることながら、東京都内の劇場だと、地元感があります。中でも、葛西臨海公園の思い出が強いです。実は、水族館が好きで20代~30代の頃に落ち込んだりすると、よく一人で水族館に足を運んでいました。特にタコは見ていて飽きないので、2時間くらい見ていたとか...そんな思い出があります。」

ぜひ、これからもプライベートでも江戸川に遊びにきていただきたいです。

今回、座頭を勤める松緑さんですが、「私は「俺についてこい」というタイプではないのでどちらかと言えば、取りまとめ役ですね。今回の出演者は、良い舞台を創るために一緒に考えてくれる信頼できる仲間ですので、非常に心強く思っています。
彼らと一緒に、お客様に喜んでいただけるように、我々も楽しみながら、千穐楽まで無事に公演が勤められるように、皆で力をあわせたいと思います。」と舞台への意気込みを語ってくださいました。

7月2日(日)間もなく、開催される松竹大歌舞伎。
当日は、尾上松緑さんをはじめ、多彩な俳優陣が一丸となって創り上げる舞台を
ぜひ、劇場でご覧ください!

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記者会見の様子

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